初めての南アルプステント泊縦走 完結編 南アルプスからの帰宅

 

6回に分けて投稿したこの南アルプステント泊縦走の記録も今回で完結。

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運行が停止したバスを諦め、私は林道を広河原に向けて歩いていた。

幸い天気は前夜の嵐から嘘のように回復。

「雨降るかなー」と心配してレインウェアのズボンだけ履いて歩いていたが、蒸し暑くて仕方がなかった。

途中で脱ごうかと考えたが、歩きだすと立ち止まってズボン脱いで、という動作がとにかく面倒で、結局広河原までそのままだった。

 

バスは運行を再開したのか、丁度野呂川出合のバス停を横切る寸前のところでやってきた。

添乗員の方が手で「乗るかい?」と確認するポーズをしてきたので、一瞬迷って手で×をつくり、「このまま歩きます」と返事した。

体は結構疲れていたが、もうここまで歩いたのだから最後まで歩き通そう。そう、思ったのだ。

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林道を歩いていると、昨日の嵐で崩落した道を整備している作業員の方に会った。私が彼らの前を通過しようとしたまさにその時、上のほうから「落石~」という声が聞こえた。

その瞬間、私と作業員の間をとてつもないスピードで石が横切った。私は身動き一つ取れなかった。それは前日2合目で遭遇したオコジョらしき小動物が横切った時のスピードとは比べ物にならないほどの速度であった。

落石を見るのはこれが初めてだったが、こんなもの、避けられるわけがないのだ。ニュースで良く「落石により~」と報道されることがある。私はそのたび、石がごろごろと音を立てながらゆっくり転がってくる図をイメージしていた。なので、なぜ落石で人が死ぬのか、とうてい想像がつかなかったのだ。

だが、今回まじかで落石を見て、初めて山における死に至る落石とはなんたるか、知った気がする。それは気づいたときにはすでに直撃しており、もう手遅れな類のものなのだ。

そして、この落石遭遇後に林道に目をやると、いたるところに石が転がっているのに気が付いた。おそらく、それらは落石なのだ。ネットやらコンクリートやらで補強されているとはいえ、ここは山。落石は日常的に起きている。なので、林道を歩く際は注意したほうが良い。

 

広河原に到着後、甲府行きのバスの切符を購入。バスは20分ほどで来た。車内は非常に空いており、快適。SDカードだけ忘れていないか無性に気になり、カメラをザックから取り出してチェックしたりして過ごした。電車が山を抜けたところでスマホの電波が繋がり、色々な通知がきて一気に世間が押し寄せてきた。とりあえずそこから親からのメールだけを取り出し、それにだけ返信して電源をオフに。初日に雲って見えなかった車窓からの山景色を眺めたりしながら、最後の旅路を満喫しようとした。

 

甲府に到着後、とにかく風呂に入らなければJRで国分寺まで帰るのはやばいと思っていたので、ロッカーにザックを預けて温泉に。私が行ったのは外観が超高級ホテルのような日帰り温泉。入浴料は1000円程。ザックこそ背負っていなかったものの、Tシャツ短パンで行くのはかなり場違いであった。何処とは書かないが、今後はもう少しさびれた場所を狙っていきたい。入浴後は色々飲食店を探し回ったものの結局吉野屋の牛とろろ定食とやらを食べることに。ここでやっとビールにありついた。

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その後甲府のブックオフに行ったり、甲府城を見たり、軽く甲府市内を散策。テレビ局のようなデカいカメラを担いだ2人組が車道を挟んで向かいに立っている際、周りにいた人たちが1列になってレンズを避けている様子がおかしかった。

日が暮れ始め、夕食をどうするか悩んだ末に、国分寺までとりあえず帰ることにした。色々散策するのはもう一杯だった。

 

電車に乗り、眠ったり起きたりを繰り返し、ときどき車窓からの夕暮れの景色を眺めた。

立川に到着したころにはすでに外は真っ暗。どこかで人身事故が起きたせいで、私は立川で足止めを食らった。しょうがなく下車し、びっくりドンキーを探したのだが、なぜかあった場所にない。たぶん、閉店したのだろう。びっくりドンキー以外に行けそうな場所を探したが、なかなか良い場所が見つからず、立川市内をテント泊装備背負ってハイキングすることになってしまった。そんな私を物珍しそうに見る人々。そりゃ、そうだ。ここは立川。甲府周辺の登山者なんて普通的な雰囲気とは異なる。結局私はどこの店にもいかず、ただ立川をぐるぐる歩き、30分後くらいに電車に乗り、国分寺に帰った。後の、立川ハイクである。

 

帰宅後は余ったリフィルのラーメンを食べた。そして濡れたシュラフを乾かし、レインウェアを外に出し、色々大変だった。

記録を書こう、書こうと何度も考えていたが、経験した事柄が自分の語彙、表現力を圧倒していたので何も書く気が湧かずに1ヶ月ほど放置していた。だが、好きなことを好きなように書けばよいし、表現できない何かは私しか知りえない貴重な体験だからほっとけばよいということで、こうして記録を書き始めたのが10月の末だ。そして、今日それをやっと書き終える。いやー、いい登山だった。これは今シーズン最高に良かった。もう、それ以外の言葉は見つからない。

 

おわり

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